Jas-M.B. /ジャスエムビー

クラックレザーという新境地。

 

jas-m.b

 

 

今だからこそ市民権を獲得したクラックレザーだが、初出時にはその斬新すぎる加工ゆえに驚きをもってマーケットに迎え入れられたのを強烈に覚えている。

 

破く・汚す・傷つける・接ぎ合わせる・・・当時、用いられていたユーズド加工のいずれにも属さない正体不明のレザー。まるで数十年は使い古したかのようなその様相に【一体どうやって加工しているのか?】という疑問がブランドを知る極僅かなユーザーたちの脳裏を駆け巡ったものだ。

 

私はほどなくその”魔法”の正体が【スエードに黒の塗料を吹き付けたもの】であることを知る。スエードレザーに塗料だって?斬新というより、むしろタブーのように感じてしまう私にはきっと永遠にたどり着けなかったメソッドなんだろう。

 

いつでも時代を切り開くのはその時代の価値観に風穴を開けることができる天才たちだ。この魔法のメソッド・クラック加工を開発したのはブランドデザイナーであるJas Sehmbi/ジャスセンビ氏が最初だったと私は認識している。

 

Jas-M.B. /ジャスエムビーは当時は非常にマイナーなブランドで、取扱店はおろかユーザーも極少数だった。風合いの良いヴィンテージレザーを用いたシンプルな手作りのボストンバッグからスタートした誰も知らないブランド。そんな無名の、でも確かな”良さ”を感じさせてくれるそのバッグを担いで街を歩くことが私の心を高揚させた。

 

ごく稀に同ブランドのバッグを担いだ人と街角ですれ違う。たったそれだけでまるで友達になれてしまうような不思議な連帯感を感じたものだ。

 

私は現在のJas-M.B. /ジャスエムビーがどうなっているのかよく知らない。巷の噂に「ヴィンテージレザーの在庫がもう無いのでは?」という話も聞く。そんなブランドの現在には一抹の寂しさを感じるのも正直なところであるが、ブランド初期に作成されたアイテムへの浪漫は私の中でますます深まっていくようだ。

 

【何がブランド初期の物なのか】は恐らく初期を知る一部のファンだけしか判らないだろう。私がブランドと出会った15年前よりかは随分とアイテムが入手しやすくなったとはいえ、まだまだマイナーなブランドなのかもしれない。

 

そんなブランド初期のアイテムを探しては集めていくのが現物を買えなかった当時の私の”トラウマ”の現れでもあり”密かな愉しみ”である。

 

by Dad

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